輸入品を扱うネットショップを開業するための手順を7つに分けて解説

輸入品を販売するネットショップを開業してみたいけれど、何をしたら良いか分からない方もいるでしょう。
そこで、この記事では輸入品を取り扱うネットショップを開業するまでの流れを、全体像がわかるように7つの手順に分けて解説していきます。
この記事を読めば、初心者でも不安なく、ネットショップを開業するまでの全体像を知ることができますので、ぜひ参考にしてください。
輸入品を取り扱うネットショップを開業する7つのステップ
輸入品を取り扱うネットショップを開業するには、以下の7つの手順に沿って進めていくとよいでしょう。
- 1.仕入れる商品を決める
- 2.仕入れ先を探す
- 3.ネットショップを開設する
- 4.商品を発注する
- 5.通関手続きをする
- 6.PL保険に入る
- 7.開業届を出す
各ステップを詳しく解説していきます。
1.仕入れる商品を決める
まずは輸入販売をするための商品を探しましょう。
販売する商品を決めるポイントとしては、顧客のニーズを理解し、必要とされている商品かつ利益が出せる物を探すことです。
ニーズがある商品をリサーチする方法としては、大手の通販サイトのランキングを参考にする、メルカリで売れている商品をリサーチするなどがあります。
ただし、輸入の際は以下の点に注意しましょう。
- 輸入できない商品がある
- 許可や資格が必要な物がある
輸入できない商品がある
日本には、そもそも輸入できる商品と輸入できない商品があります。
仮に輸入可能な商品であったとしても、特別な承認が必要な物もあります。
輸入品は大きく分けて以下に分類することができます。
- 輸入が禁止されている物(主に麻薬類、爆発物など)
- 輸入が制限されている物(ホタテ貝、海藻など)
- 他機関から確認を取れば輸入可能(ソーセージ、生ハムなど)
- 自由に輸入ができるもの
初心者の場合は、面倒な手続きが不要なことから「自由に輸入ができるもの」を輸入することをおすすめします。
許可や資格が必要な物がある
商品を輸入して販売するには、許可や資格が必要な物があります。
例えば食品を販売したい場合は、資格として「食品衛生責任者」、許可として「食品衛生法に基づく営業許可」が必要になってきます。
輸入できるものがあっても、資格、許可が必要かどうか最初にきちんと確認しましょう。
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2.仕入れ先を探す
販売したい商品を決めたら、仕入れ先を探しましょう。
輸入品の仕入れ方法は大きく分けて以下の3種類があります。
- OEM仕入れ
- 小売仕入れ
- 卸仕入れ
OEM仕入れ
OEM仕入れは、工場に依頼して商品を生産してもらい仕入れる方法です。
OEMは上記の中で最も難易度が高いので、輸入販売初心者の方には、次に紹介する「小売仕入れ」または「卸仕入れ」のどちらかをおすすめします。
小売仕入れ
小売仕入れは、スーパーのような小売店やネットショップから仕入れる方法です。
日本から輸入品を注文するのであれば、海外のAmazonやイーベイなどの大手サイトから仕入れるのがおすすめです。
卸仕入れ
卸仕入れは、卸売り業者から購入する方法のことです。
卸売業者から仕入れるメリットは、商品点数が多いことや、売れ筋商品のような情報を得られることです。
また、小売り価格よりも安く購入できます。
海外製品の卸売り業者を探す場合、卸売り専用サイトを利用するのが非常に便利です。
代表的な卸売り専用サイトが、「アリババ」です。
アリババは、中国国内の売り手を見つけることができ、価格も安いことから仕入れに大変便利なサイトです。
ただし、粗悪な商品を輸入してしまう場合も少なくありません。
アリババで商品を仕入れる場合は、十分に品質をチェックしましょう。
手順3:ネットショップを開設する
販売したい商品を決め、仕入れ先に目星をつけたら、次はネットショップを開設しましょう。
ネットショップには、主に以下の3つの開設方法があります。
- モールへの出店(楽天・Amazon等)
- ASPを利用して開設(BASE・Shopify等)
- ソフトウェアをインストールして作成(ecbeing・EC-Orange等)
ソフトウェアをインストールして作成する方法は、初心者には難しいため、モールへの出店かASPを利用して開設する方法をおすすめします。
「どちらが良いのか?」と迷う方もいると思いますので、それぞれ詳しく解説していきます。
モールへの出店
モールへの出店とは、楽天やAmazonなど大きなショッピングサイトの中にお店を構える形態のことを指します。
現実世界で例えるのなら、有名な商業施設や百貨店の中に出店しているイメージです。
楽天やAmazonなどの大手サイトは、既に多くのユーザーが利用しているため、集客力があります。
ただ、出店するだけで初期費用・月額費用・売上の一部を手数料として収める必要があることや、サイトのデザインの自由度が低く、オリジナリティを出しづらいことがデメリットになります。
モール出店は、「集客力はあるが、コストが割高、自由度は低い」のがポイントです。
ASPを利用して開設
ASPとは「アプリケーションサービスプロバイダ」の略で、ネットショップを運営するために必要なサービスを提供している供給者(プロバイダ)からレンタルしたシステムを使い、ショップを運営する形態のことです。
代表的なASPとしては、BASE、STORES、Shopifyがあります。
ASPは、モールに比べて費用が安く、デザインの自由度も高いことから、オリジナリティ溢れるECサイトを低コストで始めたい方におすすめです。
ただし、モール出店と比べると、最初からのアクセスはあまり期待できないため、ネット広告やSNSなどを上手く活用して集客努力をする必要があります。
またモールへの出店と比べると、サイトのデザインの自由度は高いです。
ASPの利用は、「集客力は劣るが、コストが安く、自由度が高い」ことがポイントです。
集客を最初から重視したいのならモール出店、費用を抑えて独自のブランドサイトを立ち上げるのならASPを利用するのが良いでしょう。
4.商品を発注する
ネットショップを開設したら実際に商品を発注して、商品が売れた時にすぐ発送できるようにしましょう。
注意点として先述しましたが、商品によっては日本に輸入できない商品もあります。
商品を発注する前に、日本に輸入が禁止されていないか改めて確認しましょう。
5.通関手続きをする
商品を発注後、通関手続きをしないと商品を受け取ることができません。
通関手続きとは「送るもの、数量、金額、輸出先(輸入先)」を税関と呼ばれる場所に申告し、許可をもらうための手続きのことです。
通関手続きをしないと密輸となってしまい法令違反となります。
外国から送られてきた手紙・書簡以外の郵便物は以下のように、課税価格が20万以下のものと、20万円を超えるものに分けて通関手続きが行われます。
20万円以下の郵便物の場合
課税価格が20万円以下の郵便物の場合は、基本的に輸入者が税関に出向いて輸入申告手続きを行う必要はありません。
つまり、20万円以下の商品を仕入れた場合、特に手続きをする必要はありません。
20万円以上の郵便物の場合
課税価格が20万円以上の郵便物の場合は、輸入者による輸入(納税)申告手続きが必要となります。
その場合の手続きは、通関交換局内に設定されている税関外郵出張所に出向き申告を行うか、通関業者に代わりにやってもらうかのどちらかの方法になります。
通関業者に頼む場合は別途料金が掛かってしまうことを覚えておいてください。
この通関手続きは輸入者本人が行うこともできますが、通関手続き自体が難しいことや、専門的な知識が必要なことが多いので、基本的に委託して行う方が無難です。
通関手続きの注意点
通関の注意点として、仕入れた商品を20万円を超えないように分割して注文したとしても、同一人物が同時期に仕入れた郵便物はそれぞれ合算されるので、通関手続きが必要な場合があります。
6.PL保険に入る
輸入商品を扱う場合は、小規模であってもPL保険に加入しておいた方が良いでしょう。
PL保険とは、簡単にいうと自社の製品によって他人を怪我させるなどの賠償リスクに備えるための保険のことです。
PL保険に入っていない場合は、仕入れた商品によって重大な事故などが起こった時に多額の損害賠償請求を自己負担で払わなければいけません。
自社の製品ではないので、「商品を作った業者やメーカーが責任を問われるのではないか?」と疑問に思うことでしょう。
しかし、輸入物については消費者が海外の製造業者に直接請求することが難しいため、輸入元が責任を負うことになっています。
保険料の相場は業種や規模、補償内容によっても変わりますが、ネットショップの年商が1,000万円くらいであれば、年間約5,000円の保険料で加入できます。
万が一に備えて、PL保険に加入することをお勧めします。
7.開業届を出す
開業届は、事業を開始した日から1ヶ月以内に届出が必要です。
ご自宅の住所地を管轄する税務署に提出しましょう。
開業届の提出が遅れても罰則はありませんが、提出が遅れてしまうと提出までの期間に使用した経費を計上できないケースもありますので、できるだけ早めに提出をするようにしましょう。
まとめ
以上、ネットで輸入販売事業を行う手順や仕入れ方法について解説しました。
まとめますと、下記のようになります。
- 仕入れたい商品が輸入できないもの、許可が必要なものなのか確認する
- 仕入れ先は、Amazonやアリババがおすすめ
- ネットショップはモール出店かASPの利用がおすすめ
- 通関手続きに関する知識を持っておくこと
- PL保険に入った方が安心
- 開業届を出す
現在は、ネットで仕入れや販売を行うことが容易になってきています。
初心者でも気軽に始めることができ、リスクも少ないビジネスです。
この記事の手順を参考にしていただき、輸入品販売のネットショップにチャレンジしてみてください。