住所貸し・バーチャルオフィスでネットショップ開業する完全ガイド
ネットショップを開業する際、特定商取引法により事業者の住所をサイト上に公開することが義務付けられています。しかし、自宅でショップを運営する場合、個人の住所をインターネット上に掲載することに不安を感じる方は少なくありません。
そこで有効なのが「住所貸し(住所レンタル)」サービス、なかでも「バーチャルオフィス」の活用です。 月額数百円〜1,000円程度で一等地の住所を借り、自宅住所を公開せずにネットショップを運営できます。
この記事では、住所貸しの仕組みから特商法の要件・料金相場・おすすめサービス比較まで、ネットショップ開業者が知りたい情報をまとめて解説します。

住所貸し(住所レンタル)とは?バーチャルオフィスとの違い
住所貸し(住所レンタル)とは、実際のオフィスを借りずに、特定の住所だけを月額料金で利用できるサービスです。
ネットショップの特商法表記や名刺・Webサイトの記載住所として使えます。「住所貸し」「住所レンタル」「バーチャルオフィス」はほぼ同義で使われますが、整理すると以下の通りです。
| 名称 | 実際のスペース | 住所利用 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| バーチャルオフィス(住所貸し) | なし | ○ | 特商法表記・法人登記・名刺 |
| レンタルオフィス | 個室スペースあり | ○ | 作業スペース+住所 |
| シェアオフィス | 共有スペースあり | △(別途契約) | 作業スペース中心 |
バーチャルオフィスは「住所だけを借りる」サービスのため、実際に作業するスペースは自宅や好きな場所で確保する必要があります。その分、コストを大幅に抑えられるのが最大の特徴です。
ネットショップで住所公開が必要な理由|特定商取引法を解説
ネットショップ運営で住所などの情報を公開しなければならないのは、「特定商取引法(特商法)」で義務付けられているためです。
特商法は消費者の利益を守ることを目的とした法律で、ネットショップは「通信販売」に該当します。通信販売事業者は、サイト上の「特定商取引法に基づく表記」ページに、以下の情報を掲載しなければなりません。
- 事業者名(個人の場合は個人名)
- 所在地(住所)
- 電話番号
- メールアドレス
- 販売価格・送料・支払方法・返品条件 等
個人でネットショップを開業した場合でも、氏名・住所・電話番号の記載が必要です。店舗や事務所を持たず自宅で運営している方は、自宅の個人情報をそのまま公開することになります。
関連記事: ネットショップ運営で知っておくべき法律 では特商法の詳細を解説しています。
なお、特商法表記には電話番号の記載も必要です。自宅番号や携帯番号を公開したくない場合は、050番号サービスとの組み合わせが有効です。
バーチャルオフィスの住所で特商法表記はOK?消費者庁の見解
結論:バーチャルオフィスの住所を特商法表記に使うことは、一定の条件を満たせば問題ありません。
2021年10月、消費者庁はバーチャルオフィスの住所・電話番号を特商法表記に使用することを認める見解を発表しています。ただし、以下の条件を満たす必要があります。
【バーチャルオフィス住所を特商法表記に使う際の条件】
- バーチャルオフィス事業者が実際に業務を行っている(郵便物の受取・転送など)
- 消費者から請求があれば、事業者の実際の氏名・住所・電話番号をすぐに開示できる
- 「請求があれば個人情報(氏名・住所、電話番号)をすぐに開示します」という旨をサイト上に明記している
つまり、バーチャルオフィスの住所を使いながらも、消費者から求められれば実際の自宅住所を伝える準備が必要です。自宅住所を「完全に秘匿できる」わけではない点に注意しましょう。
参考: レゾナンス | 特定商取引法(特商法)とは?バーチャルオフィスの住所は使える?
住所貸しサービスを利用するメリット・デメリット
ネットショップ向けの住所貸しサービスとして、特におすすめなのが「バーチャルオフィス」です。
バーチャルオフィスはレンタルオフィスとは異なり、実際のオフィスを借りるわけではないため、「作業は自宅でするけれど、住所だけ借りたい」という方に最適です。
バーチャルオフィス(住所貸し)のメリット
① 自宅住所を非公開にできる ストーカーや迷惑行為のリスクを避けながら、合法的にネットショップを運営できます。
② コストを大幅に削減できる 実際のオフィスを借りる場合と比べて初期費用・月額費用を圧倒的に抑えられます。月額550円〜1,000円程度から始められます。
③ 一等地の住所を借りられる 銀座・渋谷・表参道など都心の住所を使えるため、ブランドイメージの向上にもつながります。
④ 申し込みからすぐに使える 多くのサービスはオンラインで申し込みが完結し、最短当日〜数日で住所を利用できます。
⑤ 法人登記・郵便転送も選択可能 プランによっては法人登記や郵便物の転送に対応しており、個人事業主から法人まで幅広く活用できます。
バーチャルオフィス(住所貸し)のデメリット
① 同じ住所を複数の事業者が使う 同じ住所を多数の事業者が利用するため、インターネットで住所を検索すると他の会社が表示される場合があります。取引先には事前にバーチャルオフィス利用であることを伝えておくと安心です。また、評判の良くない会社と同じ住所を利用するリスクもあるため、大手・信頼性の高いサービスを選びましょう。
② 業種によっては利用できない 不動産業・建設業・古物商など、独立した事務所の設置が法律で義務付けられている業種では、バーチャルオフィスの住所を利用できません。
③ 銀行口座開設の審査が厳しい場合がある バーチャルオフィス住所での法人口座開設は可能ですが、近年審査が厳格化しており、開設できない場合もあります。
住所貸しサービスの料金相場
バーチャルオフィスの月額料金の相場は550円〜3,000円程度です。プランによって含まれるサービスが大きく異なります。
| プランタイプ | 月額の目安 | 含まれる主なサービス |
|---|---|---|
| 住所貸しのみ | 550〜700円 | 住所利用のみ |
| 住所+郵便転送 | 1,000〜2,000円 | 住所・郵便受取・転送(月1〜4回) |
| 住所+法人登記 | 1,500〜3,000円 | 住所・法人登記・郵便転送 |
| フルオプション | 3,000円〜 | 上記+電話秘書・貸し会議室など |
ネットショップ運営が目的であれば、「住所貸し+郵便転送」プランが実用的です。 特商法の返品・交換対応で郵便物のやり取りが発生するため、郵便転送なしプランでは不便が生じることがあります。
住所貸しサービスを選ぶ際のポイント
① 信頼できる運営会社であるか確認する
信頼できる運営会社かどうかは、事業年数・会員数・契約前の本人確認・審査の有無などを基準に判断します。反社会的勢力のフィルタリングができていない業者では、同住所が犯罪に使われるリスクがあります。口コミの良い大手サービスを選ぶのが無難です。
② 郵便転送の頻度・料金を確認する
郵便転送は「月1回まとめて転送」「週1回」「都度転送」など、サービスやプランによって異なります。ネットショップの規模や返品対応の頻度に合わせて選びましょう。
③ 利用できるエリアを確認する
郵便の受け取りや来客対応(貸し会議室の利用)を想定する場合、自宅や作業場所からアクセスしやすいエリアを選ぶと便利です。
④ 法人登記・銀行口座開設の対応有無を確認する
将来的に法人化を検討している場合は、法人登記対応プランの有無と、銀行口座開設の実績を事前に確認しておきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 住所貸し・バーチャルオフィスは違法ですか?
A. 適切に利用すれば違法ではありません。
バーチャルオフィス自体は合法なサービスです。インターネット上に「住所貸し 怪しい」といった関連キーワードが出ることがありますが、バーチャルオフィスの住所を借りて違法行為に及ぶ利用者がいることが問題であり、サービス自体は違法ではありません。信頼性の高い事業者のサービスを選ぶことが重要です。
利用するバーチャルオフィスの住所で過去に犯罪などが行われていないか、事前に確認しておくと安心です。
Q. メルカリ・フリマアプリでも住所貸しは使えますか?
A. フリマアプリでの個人間取引では、基本的に不要です。
メルカリなどのフリマアプリは、プラットフォームが取引を仲介するため、特商法の「通信販売」とは扱いが異なります。ただし、フリマアプリで事業規模の販売を繰り返す場合は特商法の対象となる可能性があります。自社ネットショップ(Shopify・BASEなど)を開設する場合は、住所貸しサービスの利用を検討しましょう。
Q. バーチャルオフィスで銀行口座(法人口座)は開設できますか?
A. 開設は可能ですが、近年審査が厳しくなっています。
バーチャルオフィスの住所でも法人口座を開設した実績はあります。ただし、実態のある事業であることを示す書類(取引実績・事業計画書など)の提出を求められるケースが増えています。銀行口座開設のサポート実績があるバーチャルオフィスを選ぶと安心です。
参考: GMOあおぞらネット銀行 | バーチャルオフィスでも法人口座は開設可能
Q. バーチャルオフィスで法人登記はできますか?
A. 法人登記対応プランがあれば可能です。
バーチャルオフィスの住所を法人の登記住所として利用できます。ただし、すべてのプランで対応しているわけではないため、契約前に法人登記対応の有無を確認しましょう。
Q. 郵便物はどのように受け取れますか?
A. バーチャルオフィスが受け取り、指定した住所に転送してくれます。
多くのサービスで月1〜4回の郵便転送が利用できます。転送の頻度や料金はプランによって異なります。ネットショップでは返品・交換などで郵便物のやり取りが発生するため、転送サービス付きのプランを選ぶことをおすすめします。
ネットショップ運営におすすめの住所貸しサービス【4選】
ここからは、ネットショップ運営におすすめの住所貸しサービスを4つ紹介します。プランについては、ネットショップ運営者におすすめのものを優先してピックアップしています。
サービス比較表
| サービス | 月額料金 | 初期費用 | 郵便転送 | エリア |
|---|---|---|---|---|
| NAWABARI | 1,100円〜 | 0円 | ○ | 目黒区 |
| GMOオフィスサポート | 660円〜 | 0円 | △(1,650円〜) | 東京13か所・横浜・名古屋・大阪・京都・神戸・福岡・北海道ほか(全国20拠点以上) |
| レゾナンス | 550円〜 | 入会金5,500円・デポジット1,000円〜 | ○(週1回) | 全国13拠点(東京10店舗・横浜・大阪ほか) |
| DMMバーチャルオフィス | 660円〜 | 入会金5,500円・保証金0円 | △(返品・返送・税金関連書類のみ) | 全国15拠点(渋谷・新宿・池袋・横浜・大阪梅田・福岡天神・札幌・沖縄ほか) |
※料金・サービス内容は変更される場合があります。契約前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
NAWABARI

サイトURL:NAWABARI 公式サイト
- 料金:月額1,100円〜
- サービス内容:住所貸し、電話要件転送、郵便物受取・転送
- エリア:目黒区
NAWABARIでは、初期費用や年会費なしで月額1,100円から目黒区の住所を借りることができます。
料金に「住所貸し、電話要件転送、郵便物受取・転送」が含まれているため、追加費用なしでネットショップ運営に必要な機能が揃っています。コストをシンプルに管理したい方に向いています。
なお、支払い方法が「PayPal」と「後払い.com」のみとなっている点には注意が必要です。
GMOオフィスサポート

サイトURL:GMOオフィスサポート 公式サイト
- 料金:月額660円〜
- サービス内容:住所貸し(郵便転送は月額1,650円〜のプラン)
- エリア:東京13か所・横浜・名古屋・大阪・京都・神戸・福岡・北海道ほか(全国20拠点以上)
GMOオフィスサポートは初期費用・保証料なしで月額660円から利用できます。全国20拠点以上に展開しており、エリアの選択肢が業界でも有数の豊富さです。
ただし、月額660円のプランには「住所貸し」のみ含まれます。ネットショップで返品対応などの郵便物受取が必要な場合は、月額1,650〜2,750円の上位プランをご検討ください。
参考: GMOオフィスサポート | ネットショップ運営者向けバーチャルオフィス活用法
レゾナンス

サイトURL:レゾナンス 公式サイト
- 料金:月額550円〜(ネットショップ住所貸しプラン)
- サービス内容:住所貸し、郵便物転送
- エリア:全国13拠点(東京10店舗・横浜・大阪ほか)
レゾナンスでは、入会金が5,500円、デポジットが1,000円〜かかります。
ネットショップ運営者向けのプランでは、月額550円で「住所貸し+郵便物転送(週1回)」に対応しており、コスパが高いのが特徴です。
なお、月額550円のプランで借りられる住所は銀座のみとなっています。電話秘書や貸し会議室など拡張サービスも豊富に揃っており、事業の成長に合わせてプランを変更しやすいのも魅力です。
参考: レゾナンス | ネットショップを開業するならバーチャルオフィスが便利!
DMMバーチャルオフィス

サイトURL:DMMバーチャルオフィス 公式サイト
- 料金:月額660円〜
- サービス内容:住所貸し
- エリア:全国15拠点(渋谷・新宿・池袋・横浜・大阪梅田・福岡天神・札幌・沖縄ほか)
DMMバーチャルオフィスでは、入会金が5,500円(初月のみ)かかりますが、保証金は0円です(2025年以前は5,000円でしたが廃止)。
ミニマムプランでは、月額660円(年間契約)で全国15拠点の住所を借りることができます。 DMMグループの知名度と信頼性を重視する方に向いています。
月額660円のミニマムプランの郵便物転送は返品・返送・税金関連書類のみの対応となっているため、通常の郵便受け取りが必要な場合は上位のベーシックプラン(月額2,530円〜)へのアップグレードをご検討ください。
まとめ
自宅住所を公開せずにネットショップを開業する方法として、「住所貸し(住所レンタル)」サービス、なかでもバーチャルオフィスの活用が手軽で現実的な選択肢です。
- 特商法により住所の公開は義務だが、バーチャルオフィスの住所は条件付きでOK(「請求があれば個人情報を開示する」旨の表示が必要)
- 月額550円〜1,000円程度から始められ、コストを抑えながら自宅住所を非公開にできる
- 郵便転送・法人登記・銀行口座開設への対応はプランによって異なるため、必要な機能を確認してから選ぶ
- 紹介した4サービス(NAWABARI・GMOオフィスサポート・レゾナンス・DMMバーチャルオフィス)はいずれも信頼性が高く、ネットショップ利用実績が豊富
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