越境ECにおけるライブコマースとは？成功のためのポイントも紹介
近年、アジア地域を中心に『ライブコマース』が急速に普及しており、中国をはじめとした各国のECプラットフォームでは、積極的に『ライブコマース』を推進しています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインでの販売需要が増加し、それによってライブコマース自体も急速に成長しています。
これらの状況から、越境ECにおいてはライブコマースを用いた販売戦略が一層拡大していくことが予想されます。
そこで、今回は越境ECで行われているライブコマースについてと、成功するためにはどのような内容にすべきかを事例とあわせて紹介します。
ライブコマースとは
はじめにライブコマースの概要と、越境ECにおけるライブコマースの状況について紹介します。
ライブコマースの概要
ライブコマースとは、ライブ配信を利用して、リアルタイムで商品の魅力や使い方を紹介し、販売を促す手法を指します。
一般的には、SNSや動画配信プラットフォーム、もしくは自社ECサイトや専用のライブコマースプラットフォームを介して配信します。
消費者にとっては、通常のオンラインショッピングと異なり、商品について直接的な質問やフィードバックを受けることができるため、商品を購入する際に感じる不安や疑問点を解消した状態で購入に踏み出すことができます。
一方、事業者にとっては、リアルな商品のデモンストレーションや使用方法を紹介できるため、商品の特徴をより正確かつリアルに伝えることができます。
また、ライブコマースは視聴者（消費者）との距離感が通常のオンラインショッピングよりも近いため、コミュニケーションを通じてブランドの信頼性や購買意欲を高めることができます。
越境ECにおけるライブコマースの状況
ライブコマースは、世界の国々で年々市場を拡大させています。
中でも、広く浸透しているのが中国のライブコマースです。
参照：株式会社いつも『【2023年度版】拡大が期待されるライブコマースの市場規模』より抜粋
上記のグラフからも分かるように、中国のライブコマースの市場規模は2018年に0.12兆元で、2023年には4.92兆元に拡大することが予想されています。
これは日本円で約93兆48百億円という規模で、日本の2021年の物販系EC市場規模（13兆2865億円）の7倍に相当します。
中国のライブコマースは、2015年頃に始まり、ライブコマース市場は急速に拡大しました。
急速に拡大した理由として、EC市場の急成長に伴う商品の多様化により、消費者が信頼できる商品を求めるようになったことが挙げられます。
そうした状況の中で、インフルエンサーによる商品紹介が人気を集め、その結果、驚異的な市場規模となったと考えられます。
このような背景から、中国のライブコマースは消費者のショッピング行動に革新をもたらし、中国EC市場の急速な成長を促しています。
越境ECにおいてライブコマースを成功させるポイント
越境ECにおいてライブコマースを成功させるポイントとして、以下が挙げられます。
- ライブコマースを行う国の市場調査
- 高品質な映像や音声の提供
- リアルタイムでのコミュニケーション
- プロモーションの充実
- 配信プラットフォームの選択
ライブコマースを行う国の市場調査
ライブコマースを行う国の市場調査を行い、消費者ニーズや嗜好を把握しましょう。
越境ECでライブコマースを成功させるために、市場リサーチは最も重要なポイントです。
ターゲットとなる国や地域のニーズやトレンドを理解することで、市場に適した商品やサービスを提供できるからです。
ライブコマースを行う際には、それらの地域の消費者の嗜好や購買行動を考慮した戦略を考える必要があるため、市場調査は重要であるといえます。
高品質な映像や音声の提供
ライブコマースにおいて、消費者が商品をより詳しく知ることができるように、商品の映像や音声を高品質で提供することがポイントです。
鮮明で安定した映像とクリアな音声は、視聴者に商品やサービスの魅力を伝える上で大きな影響を与えます。
カメラワークや照明、音響などにこだわる事で商品の特徴や細部まで正確に伝えられるだけでなく、視聴者がストレスなく快適に視聴できる環境を整えることができます。
リアルタイムでのコミュニケーション
ライブコマースを成功させるためには、視聴者とのリアルタイムなコミュニケーションがポイントです。
視聴者からの質問や疑問に迅速に回答ができれば、顧客の満足度が高まり、信頼感や安心感を与えることができます。
対話を通じて顧客の不安を解消し、購入へと導くことは、越境ECでのライブコマースの成功につながるといえます。
プロモーションの充実
ライブコマースを成功させるには、プロモーションを充実させることが必要です。
例えば、ライブ配信中のみ使用できる商品の割引クーポンや限定特典などを提供することによって、視聴者の購買意欲を高めることができます。
中国で1998年に創業したアパレルブランド「百思寒（BAISIHAN）」は、プロモーションとして特別クーポンの配布を行なった結果、1日のライブ配信で300万着のダウンジャケットを売り上げ、多くのファンを獲得したという実績があります。
プロモーションを充実したライブコマース戦略は、ライブコマースを成功させるポイントの一つといえます。
配信プラットフォームの選択
越境ECでライブコマースを成功させるためには、適切な配信プラットフォームを選ぶことが重要です。
各国・地域には独自の人気プラットフォームやジャンルに特化したプラットフォームが存在します。
そのため、自社ストアで取り扱う商品がどのプラットフォームと相性が良いかをリサーチした上で、現地のユーザーが利用しやすいプラットフォームを選ぶことがポイントです。
また、プラットフォームの機能やサポート体制を検討し、自社のビジネスモデルやニーズに合うものを選ぶようにしましょう。
越境ECで行われているライブコマースの事例
越境ECで行われたライブコマースの事例として、以下が挙げられます。
- トリップドットコム
- RICE FORCE
トリップドットコム
サイトURL：トリップドットコム 公式サイト
トリップドットコム（Trip.com）は、Trip.comグループのグローバルブランドです。
中国を拠点とするオンライン旅行サービス企業であり、主に航空券、ホテル、パッケージツアー、鉄道券、レンタカー、旅行保険、および旅行情報を提供しています。
創業者が積極的にライブ配信を行い、国内ホテルプランの販売を行いました。
具体的な内容としては、社内チームが厳選した10カ所の候補地から、一観光客として体験した感想を自分の言葉で視聴者に届けています。
そして、2020年7月からは、YouTubeを活用して、日本国内でもライブコマース配信を開始しました。
この日本でのライブ配信は反響が大きく、初回配信での取扱高は、一晩で約7300万円に達し、予約件数は3,600件超を達成しました。
RICE FORCE
サイトURL：RICE FORCE
RICE FORCEは、日本の米の力を生かしたスキンケア商品を提供している日本のコスメブランドです。
中国のソーシャルメディア「Weibo」でライブコマースを行い、セールスプロモーションを行いました。
「Weibo」は、全世界7億人以上にユーザーを抱える中国圏最大のソーシャルメディアであり、中国国内だけでなく、台湾、マレーシア、シンガポールなど多くの中国語圏で幅広く利用されています。
ライブコマースを行なった際には、再生数1.2万回、コメント1,184件を獲得し、約50万円の売上金額を達成しました。
まとめ
今回は、越境ECで行われているライブコマースについてや、成功するためのポイント、実際にライブコマースを行なっている事例を紹介しました。
越境ECにおいて、ライブコマースという手法は海外の消費者に向けた販促活動や新規顧客の開拓に有効な手段になり得るといえます。
しかし、日本国内でのライブコマースと異なり、言語や文化の違いだけでなく、配信環境の制限や法律に関する課題が存在します。
そのため、事前に十分な調査や市場リサーチを行なった上で対応していくようにしましょう。
