ECサイトリニューアルで売上を伸ばすための手順と成功させるコツについて、事例を元に解説
ECサイトを運営している事業者の中には、サイトのリニューアルを検討していることも多いことでしょう。
しかし、
「ECサイトのリニューアルをするタイミングはいつが適切なのだろう?」
「リニューアルするときの手順がわからない」
「なるべく費用を抑えてリニューアルしたいが、活用できる補助金はあるのか?」
など、疑問が尽きることがなく、なかなか行動に移せないのではないでしょうか。
そこで、今回はECサイトのリニューアルに関する基本情報とリニューアル事例について紹介します。
ECサイトリニューアルすべきタイミングはいつ?
ECサイトをリニューアルするタイミングは事業者によってそれぞれ異なりますが、判断基準としては、現状抱えているサイトの課題を解決し、今よりもさらに売上を伸ばしたいと決めた時です。
この判断基準を踏まえ、具体的にどういうタイミングでリニューアルを行うか例を挙げます。
- システムの老朽化に伴い技術やシステムを更新したいとき
- ユーザビリティの向上を狙いたいとき
- 販売戦略を変更したとき
システムの老朽化に伴い技術やシステムを更新したいとき
ECサイトのシステムの老朽化に伴い、システムを更新する必要がある場合にリニューアルを行うケースがあります。
ECサイトを立ち上げた当時は最新のシステムであっても、数年経つと老朽化してしまいます。
それにより、セキュリティ面での安全性に問題が発生してしまったり、近年リリースされた新システムを導入できなかったりする場合があります。
数年単位でシステムの見直しをしていない場合は、検討するのがよいでしょう。
ユーザビリティの向上を狙いたいとき
ユーザビリティの改善が必要であると感じた場合、リニューアルを検討する場合があります。
サイトの構造が複雑でユーザーが求める情報に辿り着きにくい場合や、スマホやタブレットに対応してサイトをレスポンシブにしたい場合など、ユーザーがより使いやすいサイトにしていくべきと感じたら、リニューアルを検討しましょう。
販売戦略を変更したとき
ECサイトの販売戦略を変更する場合には、サイトのリニューアルが必要になることがあります。例えば、現在運用しているサイトをベースに、越境ECにも力を入れていきたいと考えた場合、対象となる国に応じたサイトデザインや販売導線を用意する必要があります。
その他にも、商品のラインナップやターゲット層の変更が入り、今までの販売戦略を変更せざるを得ない場合、サイトをリニューアルする必要性が高まります。
ECサイトリニューアルを成功させるポイントまとめ
以下のポイントを抑えることによって、サイトリニューアルの成功率を高めることができます。
- リニューアルの目的を明確化する
- スケジュール管理を徹底する
- 将来的な事業規模を見据える
リニューアルの目的を明確化する
ECサイトをリニューアルする場合、必ず目的を明確化しましょう。
リニューアル対応を行っていくと、計画当初に想定していなかった検討事項や問題点が必ず見つかります。
「何のためのリニューアルなのか」が明確になっていないと、全く違う形でローンチしてしまったり、余計なコストがかかってしまったりする恐れがあります。
目的を明確化することによって、最優先で対応しなければならないことなのか、ローンチ後に追加対応する必要があるなど、課題を切り分けることができます。
また、優先すべきことが何かがはっきりします。
そのため、目的の明確化は必ず行いましょう。
スケジュール管理を徹底する
ECサイトのリニューアルにおいて、スケジュール管理を徹底することは成功に必要なポイントです。
ECサイトのリニューアルは、コンセプトの検討や設計、システム構築などといった多くのステップを踏んで行われるため、時間がかかります。
スケジュール管理を徹底することで、各ステップと全体の進捗状況を把握し、見える化できます。
また、スケジュール管理を行うことにより、コスト管理も効率的に行うことができるため、軌道修正しながらリソースの範囲内でプロジェクト完了を目指すことができます。
将来的な事業規模を見据える
ECサイトのリニューアルを成功させるためには、将来的な事業規模を見据えることが重要です。
リニューアルのプロジェクトが始まると、リニューアルすることがゴールとなってしまいがちです。
将来的な事業規模がどうなっているかを見据えたサイト設計をしましょう。
そうすることによって、何度もサイトリニューアルをする必要がなくなり、無駄なコスト抑えることができます。
ECサイトリニューアルでなぜ売上が伸びるの?事例を元に解説
ECサイトを上手くリニューアルすると、今までよりも売上が伸びる可能性が出来てきます。
では、どうしたら売上を伸ばせるリニューアルになるのでしょうか。
ここでは、株式会社ファルベの事例を元に見ていきましょう。
サイトURL:株式会社ファルべ ECサイト
株式会社ファルべは1997年に創業し、ロゴやチラシ、販促ツール、パンフレットなどのデザインや制作、そしてWEBマーケティングの支援を行う企業です。
また、2001年からは自社で企画・デザインしたウェディングアイテムをECサイトで販売しており、「FARBE」という自社ECサイトでは招待状や席次表、席札、ウェルカムボードなど3,000点以上を取り扱っています。
その後、2020年に自社ECサイトを刷新するために、リニューアルを行いました。
その結果、リニューアルオープン翌月の月商は、前年同月比130%になりました。*
売上を伸ばした要因として、以下が考えられます。
- リニューアルスケジュールの見直し
- ユーザビリティの改善
- コンテンツマーケティングの強化
リニューアルスケジュールの見直し
リニューアル時期を大幅に前倒しして、スケジュールを見直した点が挙げられます。
当初は2021年ごろを目処にリニューアルを行う予定であったところを、コロナ禍が落ち着いてからの顧客ニーズを取りこぼさないように、早急にスケジュールを見直して着手したそうです。
また、リニューアルも一気に行うのではなく、月間アクセス数を基準に優先度の高いものを取捨選択してローンチしていったという点もポイントです。
ユーザビリティの改善
リニューアル時にユーザビリティの改善を行なった点が挙げられます。
リニューアル前は、ユーザーの導線が整理されていなかったり、スマホに対応していなかったりと、ユーザーにとって買い物がしにくいサイトだったそうです。
リニューアル時はこれらの課題をしっかりと把握し、ユーザーが商品を見つけやすい導線を設計することに重きを置いて対応しました。
コンテンツマーケティングの強化
リニューアルを機にコンテンツマーケティングを強化した点が挙げられます。
リニューアル前は、ECサイトとは別で複数のブログサイトをバラバラに運営していたそうですが、リニューアル後はECサイトの直下にコンテンツを集約することにしたそうです。
それにより、ECサイトへアクセス数が増加し、購買機会を増やす結果につながっています。
ECサイトリニューアルの具体的な手順と進め方
ECサイトをリニューアルするには、以下の手順で進めていきます。
- 現状の課題・改善点の列挙
- 予算とリニューアルスケジュールを決める
- 社内で行うか外部委託するか決める
- リニューアル作業のチェック
- データ移行
現状の課題・改善点の列挙
現状の課題や改善点を列挙しましょう。
ここで列挙して選定したものが、リニューアルを行う目的となるため、優先順位を決めて目的を整理しましょう。
予算とリニューアルスケジュールを決める
目的が明確になったら、いつまでにリニューアルするのか計画を立てましょう。
特にリニューアルのタイミングは、極めて重要です。
世の中の流れや、需要シーズン、需要の急増に合わせたローンチのタイミングを決めましょう。
明確な期日を決めて、無理のないスケジュールを考えましょう。
また、このタイミングでリニューアルに関わる予算を決めておきましょう。
ある程度予算を決めておくことで、外部委託する際の提案・見積もりを比較検討できます。
社内で行うか外部委託するか決める
課題点や改善点をまとめ、スケジュールと概算の予算を決めたら、次は社内で行うか外部委託するかを決めましょう。
社内で対応する場合は、デザイナーやシステムエンジニアを確保し、プロジェクトチームを作りましょう。
外部委託する場合は、決めた予算にあわせて複数の制作会社から提案・見積もりを検討し、決めましょう。
リニューアル作業のチェック
デザインの仕上がりや、修正したシステムの動きは随時チェックしましょう。
新たな改善点やアイデアが出れば、スケジュールと予算を考慮して加えていきましょう。
データ移行
実装・テストが完了したら、データ移行を行います。
リニューアル前のサイトから商品データや顧客データなどを移行します。
データ移行の際には、必ず現状のデータのバックアップを取得してから行うようにしましょう。
ECサイトリニューアル時の注意点について
ECサイトをリニューアルする際の注意点として、以下が挙げられます。
- 予算の管理
- ローンチするタイミング
予算の管理
リニューアル計画を立てた際に決めた予算の範囲内で進めていきましょう。
検討や実装を進めていくと、やりたいことが増えていき、当初計画していた予算を超えてしまうことがあります。
優先順位を正しく把握し、目的にあわせて投資することが重要です。
ローンチするタイミング
ローンチするタイミングを選びましょう。
ECサイトのリニューアルは、サイト全体のデザインや機能が変わるため、顧客にとって不便な状況が発生する可能性があります。
そのため、ローンチのタイミングは、顧客に影響が少ない時間帯を選ぶことがポイントです。
ECサイトリニューアルの費用について
ECサイトのリニューアルにかかる費用は、多くの要因によって異なります。
主な要因としては、以下のとおりです。
- ECサイトの規模
- 機能やデザインの追加・変更
- 外部委託のコスト
- 開発期間
リニューアルにかかる総費用としては、数百万円から数千万円程度が一般的とされています。
しかし、小規模のECサイトであれば、リニューアルにかかる費用も比較的低くなりますし、外部委託ではなく社内で開発するならその分のコストを抑えることができます。
個々のECサイトの要件や優先順位によって費用は変わってくるため、具体的な費用感が知りたい場合は、ECサイトの制作会社の見積もりをもとに比較しましょう。
ECサイトリニューアルに使える補助金
ECサイトリニューアルに使える補助金として、「小規模事業者持続化補助金」があります。
「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人を対象とし、販路開拓等の取り組みや業務効率化を支援するための補助金です。
小規模事業者持続化補助金の対象となる経費は、全部で11種類あり、ECサイトのリニューアルに関しては「ウェブサイト関連費」に該当します。
なお、ウェブサイト関連費のみによる補助金申請はできないため、他の経費と掛け合わせて申請を行う必要があります。
ECサイトリニューアル時によくある質問
ECサイトをリニューアルするにあたり、手順や費用以外でよくある質問として以下があります。
- リニューアル後の顧客への影響はどのようになるか?
- リニューアルによって得られるメリットとは?
- リニューアル後の運用やメンテナンスはどうするか?
リニューアル後の顧客への影響はどのようになるか?
リニューアル後、新しいデザインや機能、サイトのナビゲーションなどの変更が発生します。
そのため、既存顧客や初めての利用者には学習コストが発生する場合があります。
また、ブックマークしていたページやリンクが動作しなくなるという場合もあるため、サイトの利用方法を改めて説明する必要があるかもしれません
リニューアルによって得られるメリットとは?
リニューアルすることによって、事業者にどのようなメリットが発生するかを知りたいという方がいるかもしれません。
メリットとしては、売上の向上や顧客満足度の向上、ブランドのイメージアップにもつながるという点があります。
リニューアル後の運用やメンテナンスはどうするか?
リニューアル後の運用やメンテナンスは、サイトの安定性やセキュリティ確保、改善点の洗い出しなどを目的として行います。
定期的なバックアップや、サイトのモニタリング、問い合わせ対応などが含まれます。また、定期的に改善点を洗い出して、改善案を検討し、実装していくことが必要です。
ECサイトリニューアルのまとめ
今回は、ECサイトのリニューアルに関する基本情報とリニューアル事例について紹介してきました。
ECサイトのリニューアルはネガティブな施策ではなく、今よりも顧客満足度を上げて、より良いサイトにしていくための重要な施策です。
完遂するまでに、さまざまなステップを踏んでいく必要がありますが、一つずつ整理して目的にあったサイトに変えていきましょう。