ECサイト制作のフルスクラッチとは?費用の相場も紹介
ECサイトを制作する際には、どのような構築方法を用いて制作していくかを決める必要があります。
なぜなら、その決めた手法によって実現できることや構築に関わってくる費用が変わってくるからです。
中でも「フルスクラッチ」という手法は、大手企業が運営するECサイトや独自のシステム機能を搭載したいと考えている企業などに選ばれている手法の一つです。
いったいこのフルスクラッチとはどんな特徴があるのでしょうか。
この記事では、そんなECサイト制作におけるフルスクラッチの基本情報と費用相場を紹介します。
フルスクラッチとは?
ECサイト制作におけるフルスクラッチとは、ECパッケージやASPのような既存のプログラムやソフトウェアを使わずに、ゼロからECサイトを構築していく手段を指します。
他の構築手法と異なり、ゼロベースでの構築となるため、高い技術力とコストが必要となってきます。
しかし、その分独自機能の実装や、自由度の高いECサイトを構築することができます。
フルスクラッチのメリット
フルスクラッチで構築するメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 完全オリジナルのECサイトを構築できる
- 機能追加や保守を臨機応変に素早く対応できる
- サイトの最適化や改善しやすい
完全オリジナルのECサイトを構築できる
フルスクラッチであれば、自由にオリジナリティのあるECサイトを構築することができます。
サイト全体のデザインや商品画像の表示方法など、細部に至るまで全てを自由に作れたり、ブランドイメージや商品特性、ユーザー層などに合わせて、デザインや機能を別々にしてみたりと、多彩な工夫が可能となります。
競合サイトと差別化できるのは、そのECサイトにとってメリットになりますし、自社の商品やサービスの価値を高めていくことに繋がっていくといえます。
機能追加や保守を臨機応変に素早く対応できる
フルスクラッチでECサイトを構築した場合、機能追加や保守を臨機応変に素早く対応することができます。
ECサイトのブラッシュアップやキャンペーン、マーケティング施策などに合わせて新機能やページを追加したい場合、仕様やスケジュールを自社のタイミングで決めて実行ができるため、非常にスピーディーです。
また、トラブルが起きた際の対処や古くなったシステムのアップデート、サイトメンテナンスなどの保守対応も迅速に行うことができるため、他の開発手法と異なり外部のサービスや業者に依存することがありません。
市場の動きやユーザーの変化に素早く対応できる柔軟性はフルスクラッチならではの強みであるといえます。
サイトの最適化やブラッシュアップがしやすい
フルスクラッチは、ユーザーの反応やトレンドに合わせて、ECサイトのブラッシュアップがしやすいのもメリットの一つと言えます。
ユーザーにとってわかりやすいサイトに効率よくブラッシュアップできる仕組みを独自に考えて追加することが可能となります。
また運営側にとっても、管理画面を使いやすくカスタマイズしたり、商品情報の登録処理や受注処理などの仕組みを変更したりするといった、バックエンド業務に関わる最適化も柔軟に対応することができます。
フルスクラッチのデメリット
フルスクラッチで構築するデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 構築や運用コストが高い
- 開発期間が長い
- 高い技術力を持った人材が必要
構築や運用コストが高い
フルスクラッチによるECサイト構築において、構築や運用にかかる費用が高いという点があります。
フルスクラッチによるECサイトの初期費用は、数千万円以上が一般的であり、構築するECサイトの内容によっては数億円規模になることも考えられます。
また、運用費用についても月額で数十万円以上のコストがかかりかかり、機能追加や改善をする場合もその都度費用が発生します。
しかし、メリットに挙げている差別化したサイトにしたい要望を持っていたり、機能追加を考えていたりするのであれば、必要経費であると言わざるを得ません。
フルスクラッチの費用相場については、後述で紹介していきます。
開発期間が長い
フルスクラッチによるECサイト構築では、開発期間が長くなることがあります。
ECパッケージやASPを用いた開発手法などは、比較的に短期間で構築を行えるのに対して、フルスクラッチによる開発では、半年から数年単位での構築が一般的です。
サービス公開までのスケジュールが短い場合、フルスクラッチは向かないため、別の開発手法をとるべきでしょう。
フルスクラッチによる構築を行う際には、長期的なスケジュール調整が必要となるといえます。
高い技術力を持った人材が必要
サイトをゼロから構築していくため、サイト構築を行うプログラミングスキルや、インフラやサーバー周りの知識やスキルが必要となってきます。
サイトデザインやECサイトに必要となる機能の実装ができる人材が必要となります。
また、外部サービスと連携やセキュリティ面などのサイト運営に関わる知識とスキルを持った人材が併せて必要となります。
フルスクラッチの費用相場
フルスクラッチの費用相場を他の開発手法と比較した場合、以下のようにまとめられます。
構築方法 | 初期費用 | ランニングコスト | カスタマイズ | 構築期間 |
---|---|---|---|---|
モール型ECサイト | 無料〜数万円 | 無料〜数万円 | 不可 | 短期 |
ASP型ECサイト | 無料〜数万円 | 無料〜数万円 | 可 | 短期 |
クラウド型ECサイト | 無料〜100万円以下 | 数千円〜数万円 | 可 | 短期 |
オープンソース型ECサイト | 100〜500万円程度 | 数万円〜数十万円程度 | 可 | 中期 |
パッケージ型ECサイト | 500万円前後 | 数十万円〜 | 可 | 短期 |
フルスクラッチ型ECサイト | 数千万円〜 | 数十万円〜数百万円 | 可 | 長期 |
参考記事:ECサイト構築の種類や手順を分かりやすく解説します
ECサイト構築の種類や手順を分かりやすく解説
ECサイト構築の種類やそれに伴う費用、ECサイトを構築しようとしたときに必要となる手順を解説します。
こちらの一覧から以下のことが分かります。
- 全ての構築方法の中で初期費用・ランニングコストが最も高い
- 全ての構築方法の中で構築期間が長い
フルスクラッチによるECサイトはデメリットでも説明しましたが、改めて見ても一覧化されている全ての構築方法の中で 初期費用・ランニングコストが最も高い と 構築期間が長い です。
「コストを抑えて早くサービス公開したい!」という思いがあるのであれば、フルスクラッチによるサイト構築はデメリットしかありません。
しかし、フルスクラッチの特徴や費用相場を十分理解し、長期的な計画で構築を行なっていくのであれば問題はありません。
むしろ、同じジャンルのECサイトとは一線を画すサイトに仕上げることができるといっても過言ではないでしょう。
前章で紹介したメリット・デメリットに合わせて、サービス公開までのスケジュールと費用面に納得がいくのであれば、フルスクラッチによるECサイト制作は他の構築方法と比べて自由度が高く、顧客ニーズに合わせた対応を行うことができる構築手法であると言えます。
まとめ
ECサイト制作におけるフルスクラッチの基本情報と費用相場を紹介してきました。
基本情報と費用相場から分かるように、フルスクラッチは コストを抑えて早くサービス公開を考えている方には向かない手法 です。
しかし、特性を理解した上で、競合サイトと差別化を図りたいと考えているのであれば、他の構築手法に比べて遥かに自由度は高く、オリジナリティあるサイトにすることができると言えます。
フルスクラッチによる制作を考えている方は、しっかり特性を理解して計画的に制作を行なっていくようにしましょう。