BtoB向けECサイト構築のヒントになる参考サイトを一覧で紹介
近年では企業間取引の手段として、BtoB向けのECサイトの導入が進められています。
経済産業省の調査によると、BtoB EC市場は年々拡大を続けており、2020年の新型コロナウィルス感染拡大の影響により市場規模が一時的に低下しましたが、334兆円という強大な市場を形成しています。
こうした市場規模の大きさから、今後のビジネス発展のためにBtoB ECサイトを作らない手はないでしょう。
そこでこの記事では、BtoB ECサイトに関する基本的な情報と参考になる代表的なサイトを一覧で紹介していきます。
BtoB ECサイトとは
BtoB ECサイトは、企業間・法人間に対して、インターネットを介してモノやサービスの売買を行うことをいいます。
BtoB ECの導入によって、今まで手作業による受注業務をシステマチックに行うことができるため、業務負担を軽減することができます。
また、受注状況や取引状況をシステム管理することによって、利用状況を可視化することができます。
可視化されたデータを分析し、その結果をもとに販売施策を打ち出したりすることで、売上拡大を行なっていくこともできます。
BtoB ECサイトの種類
BtoB ECサイトには、以下2種類の作成方法があります。
- クローズドBtoB型ECサイト
- スモールBtoB型ECサイト
クローズドBtoB型ECサイト
クローズドBtoB型ECサイトは、既存顧客のみがクローズドな環境で取引することができるサイトです。
非公開のECサイトとなっているため、Web上で検索をかけても対象となるECサイトは表示されません。
そのため、URLを知っている人のみECサイトにアクセスすることができるなどの工夫がされています。
スモールBtoB型ECサイト
スモールBtoB型ECサイトは、Web上に一般公開されているECサイトであり、誰でもアクセスすることができるサイトです。
顧客対象は世界中の企業や団体となるため、BtoC向けECサイトに近い役割をもったサイトであるといえます。
クローズドBtoB型ECサイトと異なり、多くの人の目にとまるため、顧客開拓するような役割を果たしてくれるサイトです。
BtoB ECサイトとその他のECサイトとの違い
BtoB ECサイト以外にも、BtoC ECサイトやCtoC ECサイトなど、様々なECサイトが存在します。
BtoB ECサイトとそれ以外のサイトの違いは、大きく分けて二つの軸からわかります。
- 顧客対象
- システム構築
顧客対象
各ECサイトの違いを比較する上で、一般的に区別できるのは「顧客対象」です。
BtoB | BtoC | CtoC |
---|---|---|
企業 ⇔ 企業 | 企業 ⇔ 個人 | 個人 ⇔ 個人 |
BtoB ECサイトは、「メーカーと卸問屋」「卸問屋と小売店」などが商取引であり、顧客対象は法人となります。
BtoC ECサイトは、企業から一般消費者の個人などを対象に、モノやサービスを提供します。顧客対象は個人となります。
CtoC ECサイトは、一般消費者同士があくまで個人として行う商取引を指し、顧客対象は個人となります。
上記より、BtoB ECサイトとそれ以外のECサイトの顧客対象の違いは、法人 か 個人 であるかによる違いがあります。
システム構築
商取引を行う顧客対象が違うため、求められるシステムや機能が異なります。
最も違う点としては、各取引先に応じた販路設定や掛け率の設定などといった、取引先別設定機能が挙げられます。
取引先によって商品の価格を変更したいや、商品の公開/非公開を切り替えたいというニーズがあります。
企業対企業の取引では、継続して注文してくれる「お得意先」に対して掛け率を優遇したり、商品を限定的に販売したりといったことが発生します。
複数の取引先に対して、柔軟かつ効率よく行なっていくためには、BtoB向けに特化した機能が必要となるため、その他のECサイトとは異なる点であるといえます。
BtoB ECサイトの事例
BtoB向けのECサイトとして、以下を紹介します。
- ASKUL
- ヘッドスプリング
- モノタロウ
- ファヴールマルシェ
- 京都醸造
ASKUL
サイトURL:https://www.askul.co.jp/
ASKULは、オフィス用品を取り扱っているECサイトです。既存取引先とは独自エージェント制度を実現し、エージェントが顧客開拓、債権管理、代金の回収を行い、アスクルはカタログ発送、注文受付、配送を行います。
2022年5月期のBtoB事業の売上高が同0.8%増の3,480億2500万円、営業利益は同15.4%減の170億円でした。
生活用品商材、EC需要の増加による梱包資材などのMRO商材、ロングテール商材などの売り上げが伸長した理由であるとしています。
ヘッドスプリング
サイトURL:https://store.head-spring.co.jp/
ヘッドスプリングは、「美のかかりつけ医をスタンダードに。」をコンセプトとした、美容医療クリニック・美容サロン・美容室向けのドクターズコスメを卸販売している企業です。
美容医療クリニック、サロン様向けの受注システムとして、ECサイトを活用し運営を行なっています。
ECサイト導入前の月売上は150万円程度でしたが、ECサイトを導入して数ヶ月後には約600万円、300%以上の成長率を達成するに至りました。
モノタロウ
サイトURL:https://www.monotaro.com/
モノタロウは事業者向けの工業用間接資材を取り扱うBtoB通販企業です。
扱う商材は1800万点以上であり、「工具のAmazon」とも呼ばれています。
2021年12月期の決算では、売上高が前年同期比20.6%増の1,897億円だと発表しています。
当初計画よりも下振れとなったが、注文単価の増加や顧客数の増加により、大幅な増収となりました。
成長率の面でも、5年前の2016年12月期の売上高696億円から比較すると、約270%となり急成長しているといえます。
ファヴールマルシェ
サイトURL:https://www.faveur-marche.com/
ファヴールマルシェは、化粧品やサプリメントといった美容グッズの開発・生産を行なっているメーカーです。
ECサイト作成の決め手となったのは、業務効率化のためだったそうです。
各取引先によってメールやFAX、電話など注文方法が異なっていたり、掛け率がそれぞれ違っていたりなど、管理していくのが煩雑だったそうです。
そのため、オンライン化を行い各取引先の管理をしやすくし、効率的に運用していく方針となりました。
結果として、オペレーションにかかる工数を削減し、削減した工数を売上アップのために使うことができ、売上を3倍にすることができたそうです。
京都醸造
サイトURL:https://kyotobrewing.com/
京都醸造は、クラフトビールを製造する小規模醸造所として、2015年初頭に事業を開始。
「ベルギー&アメリカ」スタイルのビールに特化した醸造所として、ベルギースタイルの伝統にアメリカスタイルの息吹を加えて新たな解釈をほどこしたオリジナルのクラフトビールを提供しています。
BtoB向けとBtoC向けでそれぞれショップページを分けた運用を行なっており、個人向けの販売だけでなく、業務店へのアプローチを用意しています。
まとめ
BtoB ECサイトに関する基本的な情報を事例とあわせて紹介してきました。ECサイトを活用することで、注文管理の方法や各取引先へのアプローチの仕方が簡便化することができます。
既にBtoB向けのビジネスを行なっているならば、ECを活用する手段を検討してみてはどうでしょうか。