Shopify Marketsとは?越境EC対応の設定手順・料金・活用ポイントを徹底解説
Shopify Marketsは、1つのShopifyストアから複数の国・地域に向けて、通貨・言語・価格・関税を個別に最適化できる越境EC管理機能です。かつては「海外販売 = 別ストアを立ち上げる」が常識でしたが、Shopify Marketsによって単一の管理画面から多地域展開が完結するようになりました。本記事では、Shopify Marketsの概要・主要機能・設定手順・プラン別の違い・活用時のポイントまでを体系的に解説します。
はじめに
日本国内のEC市場が成熟する一方、越境EC市場は拡大を続けています。経済産業省の調査によれば、日本から海外向けの越境EC市場規模は年々増加傾向にあり、Shopifyはこの需要に応えるかたちで越境EC支援ツールを強化してきました。その中核がShopify Marketsです。
以前のShopifyでは国際販売に対応するには複数ストアを用意したり、外部アプリを組み合わせたりする必要がありました。Shopify Marketsはそのハードルを大幅に下げ、中小規模のEC事業者でも実用的なコストで多地域展開を実現できる仕組みを提供しています。
出典: Shopify | Shopify Marketsとは:便利な機能や使い方のまとめ
Shopify Marketsとは?
Shopify Marketsとは、単一のShopifyストアで複数の「マーケット(販売地域)」を作成・管理できる機能です。各マーケットに対して独立した設定が可能で、顧客の所在地に応じて最適な購買体験を自動で提供します。
従来の複数ストア運用との違い
| 比較項目 | 複数ストア運用 | Shopify Markets |
|---|---|---|
| ストア数 | 地域ごとに別々に作成 | 1ストアで完結 |
| 在庫管理 | 分散して複雑化 | 一元管理 |
| 管理コスト | ストア数に比例して増加 | 単一の管理画面 |
| ドメイン | ストアごとに別 | サブフォルダ/サブドメイン/独自ドメインを選択可能 |
| 初期導入コスト | 高い | プランによっては無料から |
複数ストア運用は細かいカスタマイズに長けている面がある一方、在庫・注文・顧客データが分散するためオペレーション負荷が高くなりがちです。Shopify Marketsはこの課題を解消し、データを1か所に集約しながら地域ごとの体験を最適化できる点が最大の強みです。
Shopify Marketsの主な機能
多通貨・多言語対応
Shopify Marketsでは130以上の国際通貨と最大20言語に対応しています。顧客が訪問した地域を自動検出し、その国の言語と通貨でストアを表示することが可能です。現地通貨での価格表示は購入障壁を下げ、CVR向上に繋がります。
マーケットごとの価格設定
国・地域別に価格を個別設定できます。たとえば、日本では10,000円、米国では$70、欧州では€65のように、市場の購買力や競合状況に合わせた柔軟な価格戦略が実施可能です。コスト(輸送費・関税)を吸収した現地価格を設定することで、顧客がチェックアウト時に追加費用に驚くリスクを減らせます。
関税・輸入税の計算と表示
一部プランでは、チェックアウト時に関税や輸入税を自動計算して顧客に提示できます。DDU(関税未払い)ではなくDDP(関税込み)の体験を提供することで、商品到着後のトラブルや顧客満足度低下を防ぎます。
ドメイン構成の選択
マーケットごとのURLは以下の3方式から選択できます。
- サブフォルダ方式(例:
example.com/ja/): SEO的に推奨。ドメインパワーを集約できる - サブドメイン方式(例:
jp.example.com): 地域ごとに独立した見せ方が可能 - 独自ドメイン方式(例:
example.co.jp): 最もローカライズされた印象を与えられる
マーケットごとの商品カタログ管理
販売する商品をマーケット単位で絞り込めます。法規制や仕入れ状況によって特定の国へ販売できない商品がある場合でも、そのマーケットでは非表示にするといった運用が可能です。
テーマ・チェックアウトのカスタマイズ
マーケットごとにテーマをカスタマイズでき、チェックアウト画面のデザインや決済手段も地域に合わせて調整できます。
Shopify Marketsの設定手順
Shopify Marketsは管理画面から比較的シンプルに設定できます。以下は基本的な手順です。
ステップ1: 管理画面で Markets に移動
Shopify管理画面の左サイドバーから「設定」→「Markets(マーケット)」を選択します。デフォルトでは「プライマリマーケット」として自国市場が設定されています。
ステップ2: 新しいマーケットを作成
「マーケットを追加」ボタンをクリックし、以下を設定します。
- マーケット名: 管理用の名称(例: 「北米」「EU」「東南アジア」)
- 対象国・地域: 1マーケットに複数の国をまとめることも可能
- 公開ステータス: アクティブまたはドラフト
ステップ3: 通貨・言語・価格を設定
作成したマーケットの詳細画面で、使用通貨・表示言語・商品価格の調整率を設定します。「ベース価格から○%上乗せ」という一括調整も可能で、輸送コストなどを反映しやすくなっています。
ステップ4: ドメインと SEO 設定
マーケットごとにサブフォルダ・サブドメイン・独自ドメインのいずれかを選択し、hreflang属性の設定など国際SEOに対応した構成を整えます。
ステップ5: テスト購入で動作確認
設定後は、VPNや「テストモード」を活用して各マーケットからの購買フローを確認しましょう。通貨変換・言語切り替え・チェックアウト表示が意図通りに機能しているかを必ず検証してください。
プラン別の機能・料金の違い
Shopify Markets自体の基本機能はサブスクリプション費用に含まれており、追加料金なしで利用できます。ただし、プランによって利用可能なマーケット数や機能に差があります。
| プラン | 作成可能なマーケット数 | 関税計算対応 | 主な制限 |
|---|---|---|---|
| Basic / Grow | 3マーケット | 非対応 | 関税込み表示不可 |
| Advanced | 3マーケット(追加は月額$59/マーケット) | 対応 | 追加マーケットは有料 |
| Plus | 最大50マーケット | 対応 | ほぼ制限なし |
本格的な越境EC展開を行うなら、関税計算対応・多マーケット設定が可能なAdvanced以上のプランが実用的です。
出典: Shopify Marketsとは:便利な機能や使い方のまとめ - Shopify 日本
Managed Markets(旧 Markets Pro)との違い
Shopify Marketsとは別に、Managed Markets(旧称: Shopify Markets Pro)という上位サービスが存在します。Global-eと連携しており、関税・輸入税の代行支払いや現地決済手段の対応など、より高度な越境EC機能を提供します。
ただし、2026年時点でManaged Marketsは米国拠点のShopify事業者を主な対象としており、日本国内法人が直接導入できる状況ではありません。日本のEC事業者が越境EC向けの関税対応を強化したい場合は、現状ではShopify MarketsのAdvancedプラン以上の利用、またはサードパーティの関税計算アプリとの組み合わせが現実的な選択肢です。
出典: Simplify Global Commerce with Shopify Managed Markets - Shopify
Shopify Marketsを活用する際のポイント
1. 最初は主力マーケット1〜2か国から始める
いきなり全世界を対象にするのではなく、売上が見込める1〜2か国からスタートするのが現実的です。まず英語圏(米国・オーストラリア)や東南アジア(台湾・シンガポール)など、ターゲットを絞って検証するアプローチが失敗リスクを抑えます。
2. 翻訳品質にこだわる
自動翻訳だけに頼ると、商品説明や接客文言のニュアンスがずれてブランド毀損につながることがあります。翻訳専門アプリ(Weglot、LangShop など)との組み合わせや、ネイティブチェックを予算に組み込むことを推奨します。
3. 送料と関税コストの事前試算を行う
越境ECでは送料・関税・返品コストが収益を圧迫しやすいです。Shopify Marketsで価格を調整する前に、輸送コスト・関税率を国別にシミュレーションし、適切な価格設定を行うことが重要です。
4. 国際SEOの設定を忘れない
サブフォルダ方式を選択した場合はhreflang属性が自動で設定されますが、意図通りに機能しているかをGoogle Search Consoleで確認する習慣をつけましょう。検索エンジンが正しく地域別URLをインデックスするかどうかは、越境EC流入に直結します。
5. 法規制・特定商取引法への対応
越境EC展開時は、販売先の国の消費者保護法規・輸入規制・食品表示法などへの対応も必要です。特に EU ではGDPR対応、米国ではFTCガイドラインへの準拠が求められます。法的リスクについては専門家への相談をあわせて検討してください。
よくある質問(Q&A)
Q. Shopify Marketsは日本語に対応していますか?
はい、対応しています。Shopify Markets自体は多言語機能を持っており、日本語を含む最大20言語でのストア表示が可能です。ただし、商品説明の翻訳は別途対応が必要です。
Q. 複数通貨で決済を受け付けるにはShopify Paymentsが必要ですか?
現地通貨での決済を受け付けるにはShopify Paymentsの利用が推奨されます。Shopify Paymentsが利用できない場合は、Payoneerなどのサードパーティ決済を組み合わせる方法があります。
Q. 既存の日本語ストアに後からShopify Marketsを追加できますか?
はい、後から追加できます。既存のストア設定を維持しながら、新たに海外マーケットを追加する形で段階的に越境EC展開を進めることが可能です。
まとめ
Shopify Marketsは、単一ストアから複数の国・地域に向けて通貨・言語・価格・関税を最適化できる越境EC管理ツールです。主なポイントを整理すると以下のとおりです。
- 基本機能は全プランで無料。関税計算・大規模展開はAdvanced以上が必要
- 最大50マーケット(Plusプラン)、130以上の通貨・最大20言語に対応
- 複数ストア運用と比べて管理コストを大幅に削減できる
- まずは1〜2か国のパイロット展開から始め、翻訳品質・送料・法規制を整えながら拡大するアプローチが現実的
- Managed Marketsは現状、日本法人向けではないため、Advanced以上のプランとアプリの組み合わせが主流
越境ECへの参入を検討しているEC事業者にとって、Shopify Marketsは強力な選択肢のひとつです。ただし、設定の細かな調整やアプリ選定、法規制対応など、実務上の課題も少なくありません。
FASTMAKEでは、Shopify Marketsを活用した越境EC構築から運用支援まで一貫してサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。