Shopify在庫管理完全ガイド|ネイティブ機能から多拠点・アプリ連携まで
ShopifyのネイティブAI在庫管理機能から多拠点(マルチロケーション)管理、外部アプリ・ERP連携まで、EC事業者が知っておくべき在庫管理の全手法を体系的に解説します。在庫切れや過剰在庫を防ぎ、キャッシュフローと顧客満足度を同時に改善しましょう。
はじめに
ECサイトを運営する上で、在庫管理は収益性を左右する中核業務のひとつです。在庫切れが続けば機会損失が積み重なり、逆に過剰在庫はキャッシュフローを圧迫します。Shopifyは世界中の数百万店舗に採用されているプラットフォームであり、標準機能だけでも相当な在庫管理を実現できますが、事業規模や運用体制によって必要な機能は異なります。
本記事では、Shopifyの在庫管理を「標準機能」「多拠点(マルチロケーション)」「外部アプリ」「ERP連携」の4つの軸で整理し、自社のフェーズに合った最適解を見つけるための実践的なガイドを提供します。
Shopifyのネイティブ在庫管理機能
在庫追跡の基本設定
Shopifyでは商品登録時に「在庫追跡を行う」を有効にすることで、在庫数のリアルタイム追跡が開始されます。設定できる主な項目は以下のとおりです。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 在庫数 | 各SKUの現在庫数を手動入力 |
| 在庫切れ時の販売 | 在庫ゼロでも購入を受け付けるか選択 |
| ロケーションごとの在庫 | 複数拠点への在庫割り当て |
| SKUコード | 独自の商品管理コードを設定 |
| バーコード(JAN/EAN/UPC) | 外部WMS・レジとの連携に使用 |
在庫履歴と調整機能
管理画面の「商品管理 → 在庫」から、全商品の在庫数一覧を確認できます。在庫数の手動調整時には理由(「在庫棚卸し」「破損・廃棄」「返品」など)を記録できるため、在庫差異の追跡が容易です。また、CSVエクスポートにより在庫データをスプレッドシートで管理することも可能です。
在庫移動(Transfer)機能
複数の倉庫や実店舗間で在庫を移動させる場合は「Transfer(移動)」機能を使います。移動元と移動先のロケーションを指定し、移動する商品とその数量を入力するだけで、在庫の移動履歴が記録されます。この機能により、「本社倉庫から実店舗へ補充する」といった日常的な在庫移動をShopify上で完結させることができます。
低在庫アラートの設定
Shopifyの標準機能では、在庫数がゼロになった際に管理者へメール通知が届きます。ただし「在庫が残り○個になったら通知する」という閾値設定は標準では対応していないため、閾値ベースのアラートが必要な場合は後述するアプリの導入を検討してください。
多拠点(マルチロケーション)在庫管理
マルチロケーションとは
Shopifyのマルチロケーション機能は、複数の倉庫・実店舗・ドロップシッパーをそれぞれ「ロケーション」として登録し、拠点ごとに在庫を管理できる仕組みです。設定は「管理画面 → 設定 → ロケーション」から行います。
登録できるロケーション数はプランによって異なります。
| プラン | 最大ロケーション数 |
|---|---|
| Basic | 10拠点 |
| Shopify | 10拠点 |
| Advanced | 10拠点 |
| Shopify Plus | 200拠点 |
出典: Shopify | How To Set Up Multi-Location Inventory Management
フルフィルメントの優先順位設定
マルチロケーションでは、注文が入った際にどのロケーションから優先的に出荷するかを設定できます。たとえば「東京倉庫 → 大阪倉庫 → 名古屋店舗」という順番で在庫を確認し、在庫がある最初の拠点から自動的にフルフィルメントを割り当てることが可能です。
この設定により、配送距離の最短化や在庫の平準化を自動化でき、特に複数の物流拠点を持つ企業にとっては大きなコスト削減につながります。
Shopify Fulfillment Network(SFN)との連携
Shopifyは自社のフルフィルメントネットワーク(SFN)を展開しており、2025年8月にはAmazon Multi-Channel Fulfillment・DHL Fulfillment Network・Bigblue・Mayple・GoBoltの5社が新たにパートナーとして参加しました。ただし、2026年9月時点でSFNの直接提供は日本では未対応であり、日本向けにはオープンロジなどのパートナー経由のフルフィルメントサービスが選択肢となります。
出典: Shopify Changelog | New partners join Shopify Fulfillment Network
Shopify在庫管理アプリの選び方
Stockyアプリ終了について(重要)
以前はShopifyが公式に提供していた無料の在庫管理アプリ「Stocky」がありましたが、2025年7月にアプリストアからの提供を終了し、2026年2月にアプリストアから完全削除されました。2026年8月をもってサービスが完全終了となっています。現在Stockyを使用している場合は、早急に代替アプリへの移行が必要です。
出典: Shopify | Inventory Management App: Best Picks for Shopify
主要な代替アプリ比較
Stockyの後継として、以下のアプリが多くのShopifyマーチャントに採用されています。
| アプリ名 | 主な特徴 | 向いている規模 |
|---|---|---|
| Stockful | 高度な分析・レポート機能、需要予測 | 中〜大規模 |
| Prediko | AI需要予測、発注自動化 | 成長期〜中規模 |
| Assisty | 在庫分析・補充提案、日本語対応 | 中小規模 |
| Katana | 製造業向け、BOM管理対応 | 製造業EC |
| ShipBob | フルフィルメント込みの在庫管理 | アウトソース希望 |
アプリ選定の際は、以下の観点で自社ニーズを整理することが重要です。
- 在庫予測の精度: 需要予測アルゴリズムの精度と学習データの量
- マルチロケーション対応: 複数倉庫の在庫を横断的に管理できるか
- 自動発注機能: 再発注点を設定し、発注書を自動生成できるか
- Shopify連携の深さ: リアルタイム同期の頻度とエラー発生率
- 日本語サポート: UIや問い合わせ対応の言語
出典: Charle Agency | 14 Best Shopify Inventory Management Apps for 2026
ERPとの連携で在庫を一元管理
なぜERP連携が必要になるのか
事業規模が拡大し、Shopify以外にもリアル店舗・楽天・Amazon・卸売チャネルを持つようになると、チャネルごとに在庫が分散して管理が煩雑になります。ERP(基幹業務システム)との連携により、すべてのチャネルの在庫を一元的に管理し、二重販売のリスクを排除することが目的です。
ERPとShopifyを連携させると、以下のデータが自動で双方向に同期されます。
- 商品マスタ・価格情報
- 在庫数(各チャネル・各ロケーション)
- 受注データ・フルフィルメントステータス
- 顧客情報・取引先データ
- 売上・仕入れの会計連携
主なERP連携の方法
Shopifyとの連携実績が多い主要ERPと連携手段は以下のとおりです。
| ERP製品 | 代表的な連携手段 |
|---|---|
| NetSuite | NetSuite Connector(公式)、SuiteApp |
| SAP | SAP Commerce Cloud、独自API開発 |
| Microsoft Dynamics | Power Automate、Codeless Platforms |
| マネーフォワード / freee | 中間連携ツール(Zapierなど) |
| 勘定奉行・弥生 | 専用連携アプリ(NextEngine経由が一般的) |
中小規模のEC事業者であれば、ERPまでは必要なく、受注管理システム(OMS)との連携から始めるのが現実的です。ShopifyとNextEngineを連携させることで、在庫・受注・出荷を自動化する日本の事業者も多くいます。
出典: Shopify 日本 | ERP在庫管理:機能やメリット、導入方法
在庫管理のKPIとベストプラクティス
押さえておくべき在庫KPI
在庫管理の状態を数値で把握するために、以下のKPIを定期的にモニタリングすることが重要です。
| KPI | 計算式 | 目安(業種によって異なる) |
|---|---|---|
| 在庫回転率 | 売上原価 ÷ 平均在庫額 | 年6〜12回が一般的 |
| 在庫日数 | 365日 ÷ 在庫回転率 | 30〜60日が目安 |
| 欠品率 | 欠品発生件数 ÷ 全受注件数 | 1%以下を目指す |
| デッドストック率 | 滞留在庫額 ÷ 総在庫額 | 10%以下が望ましい |
| 在庫精度 | 実在庫数と帳簿在庫数の一致率 | 95%以上 |
季節変動への対応
アパレルやギフト商材など季節性が高い商材では、シーズン前の仕入れと在庫計画が特に重要です。
- 過去データの分析: Shopifyアナリティクスで前年同月の販売数を確認し、成長率を乗じて予測数量を算出する
- 安全在庫の設定: リードタイムと需要変動を考慮した安全在庫数を各SKUに設定する
- 段階的な仕入れ: 全量を一括発注せず、初回・追加発注に分けてリスクを分散する
- 死筋商品の早期処理: シーズン前半で反応が薄い商品は早めに値引きし、在庫をキャッシュに転換する
ABC分析で商品を優先管理する
全商品を売上貢献度でA・B・Cにランク分けする「ABC分析」は、在庫管理工数を効率化する有効な手法です。
- Aランク(上位20%の商品): 売上の約80%を占める主力商品。在庫切れを絶対に起こさない厳密な管理が必要
- Bランク(中位30%): 安定した売上があるが、AほどクリティカルではないSKU。適切な安全在庫を設定
- Cランク(下位50%): 売上への貢献度が低い商品。過剰在庫になりやすいため、仕入れは最小限に抑える
Shopifyのレポート機能や連携アプリを使えば、このABC分析を自動化することも可能です。
定期棚卸しのベストプラクティス
- サイクルカウント: 全品一括棚卸しではなく、ABCランク別に頻度を変えて循環棚卸しを実施する(Aランクは毎月、Cランクは四半期ごとなど)
- Shopify POSとの連携: 実店舗のレジとShopifyを連携させることで、販売と同時に在庫が自動で減算される
- バーコードスキャン: ハンディターミナルとShopifyを連携させた棚卸しアプリを活用し、ヒューマンエラーを削減する
まとめ
Shopifyの在庫管理は、ネイティブ機能だけでも基本的な追跡・調整・多拠点管理が実現できますが、事業成長に伴い外部アプリやERP連携が不可欠になります。
本記事のポイントを整理します。
- ネイティブ機能: 在庫追跡・手動調整・Transfer機能で小規模ECはほぼ対応可能
- マルチロケーション: 最大200拠点(Plus)まで対応。フルフィルメント優先順位の設定が重要
- アプリ選定: Stockyは2026年8月で完全終了。Stockful・Prediko・Assistyなどへの移行を検討
- ERP連携: 複数チャネル運用になったらERPまたはOMSとの連携で在庫の一元管理を実現
- KPI管理: 在庫回転率・欠品率・在庫精度を定期モニタリングし、ABC分析で管理工数を最適化
在庫管理の精度を高めることは、単なる業務効率化にとどまらず、顧客満足度の向上とキャッシュフローの改善に直結します。特にStockyを現在ご利用中の場合は、2026年8月の完全終了前に代替アプリへの移行計画を立てることをお勧めします。
FASTMAKEでは、Shopifyを活用したECサイト構築から在庫管理の仕組みづくり・アプリ選定のサポートまで一貫して対応しています。在庫管理の改善や Shopify導入についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。