食品ECサイトの食品表示法対応ガイド|必要な表示項目・アレルギー・賞味期限の書き方
食品をECサイトで販売する際に知っておくべき食品表示法の基礎から、必須表示項目・アレルギー表示(2023年くるみ義務化)・賞味期限の表示方法まで、消費者庁ガイドラインに沿って実践的に解説します。
はじめに
食品のEC販売は、菓子・調味料・健康食品・産直品など多岐にわたり、近年急速に拡大しています。しかし「食品表示はパッケージに貼ればよい」と考えているEC事業者は少なくなく、商品ページ上での表示不備が消費者トラブルや行政指導につながるリスクを見落としがちです。
2022年6月、消費者庁はEC事業者向けに「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック」を公表し、食品表示基準で定める事項をオンラインでも可能な限り掲載するよう明示しました。また2023年にはアレルギー表示義務の対象品目にくるみが追加され、食品EC運営者には最新ルールの把握が求められています。
本記事では、EC事業者が押さえるべき食品表示法の要点を整理し、商品ページへの落とし込み方を具体的に解説します。
食品表示法とは?ECサイト運営者が知るべき基礎知識
食品表示法の概要
食品表示法は2015年に施行された法律で、それ以前に分散していたJAS法・食品衛生法・健康増進法の食品表示に関する規定を一本化したものです。違反した場合は行政指導や業務停止命令、罰則(50万円以下の罰金等)が科されることがあります。
法律が直接義務付けるのは「容器包装への表示」
食品表示基準(内閣府令)の本来の適用対象は、食品の容器包装上への記載です。ECサイトの商品ページそのものへの掲載は現時点で法的に義務付けられているわけではありません。
しかし、消費者庁が2022年6月に公表したガイドブックでは、インターネット販売においても食品表示基準で定められた情報を商品ページ上に可能な限り掲載することを推奨しており、実務上は「掲載が当然」という流れになっています。
出典: 消費者庁 | インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック(令和4年6月)
なぜECサイトでも表示が必要なのか
実店舗では商品を手に取り、パッケージの裏面を確認してから購入できます。ECサイトでは商品が手元に届く前に注文が確定するため、消費者が購入前にアレルゲンや原材料を確認できる環境を整えることが事業者の責務とされています。特にアレルギーを持つ消費者にとっては健康被害に直結するため、対応の重要性は高いです。
ECサイトに掲載すべき食品表示の必須項目
消費者庁ガイドラインおよび食品表示基準を踏まえ、食品ECの商品ページに掲載すべき主な項目は以下のとおりです。
| 表示項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 食品の一般的な名称(例:「チョコレート」「しょうゆ」) |
| 原材料名 | 使用した原材料と添加物を重量順に記載 |
| アレルゲン情報 | 特定原材料8品目(義務)と特定原材料に準ずるもの(推奨) |
| 内容量 | 重量(g・kg)または容量(ml・L) |
| 賞味期限/消費期限 | 期限の種類と年月日(後述) |
| 保存方法 | 冷蔵・冷凍・常温など |
| 製造者情報 | 製造者または販売者の名称と所在地 |
| 栄養成分表示 | エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量 |
| 原料原産地名 | 義務対象品目は表示必須 |
これらをすべて商品ページ内(説明文・仕様欄・テーブル等)に記載することが推奨されます。「パッケージ画像を載せているから大丈夫」という対応は不十分で、画像が小さく読み取れないケースや、画像が読み上げられないスクリーンリーダー利用者への配慮も欠けるため、テキスト形式での掲載が望ましいです。
アレルギー表示の最新ルール(2023年改正・くるみ義務化)
特定原材料(義務表示)8品目
2023年3月9日の食品表示基準改正により、アレルギー表示が義務付けられる特定原材料が7品目から8品目に増加しました。追加されたのは「くるみ」です。
義務表示8品目(特定原材料):
- えび
- かに
- くるみ(2023年3月追加)
- 小麦
- そば
- 卵
- 乳
- 落花生(ピーナッツ)
くるみについては、2025年3月31日まで経過措置期間が設けられていましたが、同期間は既に終了しています。現在は完全義務化されており、くるみを原材料に含む食品を販売する際は必ずアレルゲン表示が必要です。
出典: INFOMART Foods Channel | 「くるみ」のアレルギー表示が義務に。2025年4月から完全施行
特定原材料に準ずるもの(推奨表示)約20品目
義務ではありませんが、表示が推奨される品目も多数あります(アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン等)。消費者保護の観点から、可能な限り記載することを推奨します。
ECサイトでのアレルギー表示の書き方
【アレルギー情報】
本品に含まれるアレルゲン:小麦・卵・乳・くるみ
(製造工場では落花生を含む製品も生産しています)
上記のように、含有アレルゲンを明確にテキストで記載し、コンタミネーション(製造ライン共有)がある場合はその旨も注記しましょう。
賞味期限・消費期限のEC特有の表示課題
「賞味期限」と「消費期限」の違い
| 種類 | 基準 | 対象品目の例 |
|---|---|---|
| 消費期限 | 安全に食べられる期限(品質劣化が早い食品) | 生肉、弁当、生菓子 |
| 賞味期限 | おいしく食べられる期限(品質保持期間が長い食品) | 缶詰、乾物、スナック菓子 |
ECサイトでの表示の難しさ
ECサイトでは、在庫の期限が商品ごとに異なるため、「賞味期限:2026年12月」のように特定の日付を商品ページに固定表示することが困難な場合があります。
消費者庁ガイドラインでは、以下の対応方法が示されています。
- 商品ページに期限情報を掲載することが困難な場合でも、購入者への確認手段(問い合わせ窓口・QAページ等)を用意すること
- 可能であれば「注文時の在庫から○○日以上の賞味期限を保証」などの補足説明を記載する
- 発送時の納品書・同梱物に賞味期限を必ず記載する
実務上は、商品説明に「賞味期限は商品ラベルに記載」と明記した上で、十分な残余期限のある商品を出荷する運用が一般的です。
よくある違反・トラブル事例と防止策
事例1:アレルゲン表示の欠落
商品リニューアルで原材料が変わったにもかかわらず、ECサイトの商品ページ情報を更新し忘れてアレルギー患者に被害が出るケースがあります。
防止策: 原材料変更時のECページ更新を製品管理フローに組み込む。Shopifyなどでは商品メモやタグで「要更新」フラグを立てる運用が有効です。
事例2:健康強調表示(機能性表示)の不正
「肌荒れに効く」「免疫力を高める」など、根拠のない効能効果を表示すると景品表示法・健康増進法・薬機法に抵触します。機能性表示食品として届け出ていない限り、効能効果の表示は避けてください。
事例3:輸入食品の日本語表示省略
海外から仕入れた食品を国内ECで販売する場合でも、日本語での食品表示が義務です。英語のみ・中国語のみのラベルのまま販売することは違反となります。
事例4:栄養成分表示の未掲載
一般消費者向けに販売する加工食品は原則として栄養成分表示が義務です(エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目)。生鮮食品や業務用食品など一部は任意とされますが、ECでは消費者向け販売が多く義務対象となるケースがほとんどです。
Shopifyでの食品表示実装のポイント
ShopifyでECサイトを運営する場合、以下の方法で食品表示情報を管理・表示できます。
メタフィールドを活用した構造化表示
Shopifyのメタフィールド(管理画面 > 設定 > カスタムデータ)を使い、商品ごとに以下のフィールドを用意することで、テーマ側で一貫したフォーマットで表示できます。
product.metafields.food.ingredients(原材料名)product.metafields.food.allergens(アレルゲン情報)product.metafields.food.nutrition(栄養成分)product.metafields.food.storage(保存方法)
商品説明のテンプレート化
複数の食品商品を扱う場合、商品説明のひな形(テンプレート)を用意し、担当者が入力漏れなく登録できる仕組みを作ることが重要です。Shopifyの管理画面にある社内用メモ(タイムライン)や、タスク管理用のアプリ・メタフィールドを活用するとフローを整備しやすくなります。
多言語対応(越境EC)
越境ECで日本の食品を海外向けに販売する場合、輸出先国の食品表示規制(FDA、EU規制等)に対応する必要があります。Shopify Marketsを活用して言語・地域別に表示内容を切り替えることが可能です。
まとめ
食品ECサイトにおける食品表示対応のポイントを整理します。
- 食品表示基準の直接義務は容器包装への表示だが、消費者庁ガイドラインにより商品ページへの掲載が事実上推奨されている
- アレルギー表示義務対象は8品目(2023年に「くるみ」が追加され、2025年4月より完全義務化済み)
- 原材料名・アレルゲン・賞味期限・保存方法・栄養成分表示はすべてテキストで商品ページに記載することを推奨
- 原材料変更時はECページの更新を忘れずに行う運用フローの整備が不可欠
- 根拠のない健康強調表示は景表法・薬機法違反のリスクがある
食品ECを安全・安心に運営するためには、最初の商品ページ設計段階から表示項目を組み込む仕組みを整えることが大切です。対応に不安がある場合は、食品表示の専門家(食品表示診断士・弁護士・行政書士)に相談することも検討してください。
FASTMAKEでは、食品EC・健康食品ECのShopify構築において、食品表示の項目設計や商品登録フローの整備を含めた運用しやすいサイト設計を支援しています。食品ECの立ち上げ・リプレイスをご検討の方は、お気軽にご相談ください。